『重力ピエロ』を観て想う。妊娠中絶と生と死【ひとりごと】

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出典:amazon

映画「重力ピエロ」鑑賞。
久しぶりに考えさせられる映画でした。 原作は人気小説家、伊坂幸太郎重力ピエロ (新潮文庫)です。

映画は原作ファンからは中々酷評されているようですが、原作未読で読んだら結構楽しんで観れましたよ!

さて、今回はそんな映画感想の【ひとりごと】です。ちょっとデリケートな話になったので公開迷ったのですが、色々面白かったので公開します。

【ひとりごと】哲学要素が強い記事だよ。執筆雰囲気も変えてます。専門的にならないようにはしてるけど、ちょっと複雑かもー?

ネタバレしないように頑張ったけど、がっつりネタバレしてるっぽいよ……

では、行きますー。

映画、重力ピエロを観て想う。
ひとりごと。

『重力ピエロ』を観て。映画感想。

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春が、二階から落ちてきた

『重力ピエロ』は、優しいピアノ曲に包まれて、春の陽だまりのような出だしを切る。

しかし、次の瞬間にはこの物語が、ただの甘い話しではない事を知るだろう。

そして、ある事を考えさせられる話でもあった。

「重力ピエロ」を見て思う。生と死

この子供、産もうと思う。

このフレーズを聞いて、パッと大学生時代の記憶が浮かんだ。

「妊娠中絶は善か悪か。良いか悪いか。2つのグループに分かれて議論をしてください」

大学1年生の春。私は、初めてのゼミで突然そう言われた。

妊娠中絶が良いか、悪いか。
許されるか、許されないか。

私は色々と考えて「中絶しても良い」というグループに入った。

  • どういう過程でできた子どもなのか
  • その子どもを幸せに育てることができるのか

親と子ども、どちらも幸せな未来はどれか。 それを考えていたからだ。

しかし、映画「重力ピエロ」での決断は、私の決断とは真逆の驚くべきものだった。

この子供、産もうと思う。

この決断をできる女性はなんて強い人なのだろうか。

レイプをされてできた子ども、それがハルだ。

レイプをされて子どもができた時、人は何を思うのだろうか。中絶するか、しないか。

妊娠中絶は許されるか、許されないか。

もし大切な人が苦しんでいたら。相談をされたら、そのときどんな言葉をかけるだろうか?

産むべきと言うか
産まなくても良いよと言うか

多くの人は、どう考えるのだろう?

「妊娠中絶は悪い」と言う人が多い

妊娠中絶は良いか悪いかの議論で、「中絶は絶対にダメだ」と強く主張する人が多かった事が印象に残っている。

なぜなら、「殺人」だから。

殺人を容認することはできない。その為、ようやくグループ分けが終わり始まった議論は、とにかく迷走した。

「母親の感情はどうする? 生まれた子どもはどうする?」 「では人を殺して良いのか?産んでみなければ、未来はわからないではないか」 「産んでうまくいく人ばかりじゃない」

まあ、こんな感じで、終始議論はぐだぐだ。

殺人はダメとしか考えていない人は、感情的な部分で訴えかけても、相手は納得できないだろう。

(しかし、そもそも道徳とはなにか。殺人がダメとはどういう事なのだろうか。ここを考えると深みにはまるのだが…。)

繊細な話しは割り切れない

色々と、繊細な話は割り切ってはいけないのだろうとも思う。

しかし人によって、分かり合えることのない大きな差がある問題なのだと、この議論を通して痛感した。

海外でのとある事件

海外で未成年がレイプをされて妊娠。発見された時には中絶が許される時期が過ぎており、裁判所は中絶を拒否。出産したという話があった。

それは、まだ12歳くらいの少女の話。

レイプ犯は親族。助けてくれる人は周囲はおらず彼女は長期間虐待されていた。

出産して、その幼い少女は、生まれた子供は、どう生きていくのだろうか。

そもそも、12歳ほどの少女の出産がどれほど過酷か…想像もできない。手術になるのだろうか。あまり医療の進んでいる国には見えなかったが…。お金もないだろうし…。

もし、中絶が法律的に許される時期だったら、その子どもは中絶したいと言ったのだろうか。

『重力ピエロ』のレビューでは興味深い結果が

私は映画を観終わるとざっとレビューサイトを見て回った。そこでこんな感想を見つけた。

レイプ犯の子どもを産む選択は常識的にありえない。

強姦された子供を産むという非現実的な話だった。 妻が強姦されて生まれた子供が目の前で育つのを父として普通に接していけるのか。非現実的な話で感情移入ができなかった。

成る程。レビューにはこういった意見が結構多かった。レイプされた後で子どもを産むのはあまり共感できないらしい。

そしてもう1つ。私が気になったのは、このレビューだ。

どれほど怒りがあっても人を殺してはいけないと思う。

考えて考えぬいた結果…。空想だからこそできる結末。

映画、重力ピエロでは、人を殺してしまう場面がある。

犯罪者を追い詰めるハルは、兄を見てうっすらと笑い、手を振り下ろした。

目を引かれる光景だ。

このシーンでは優しいピアノ曲がバックに流れ、人を殺す陰鬱さはなりをひそめる。そして、復讐に至るまでの優しい思いが強調される。

大切な人との思い出。そして復讐を選んでしまうほどの優しさ。やるせなさ……。

映画では、それが鮮やかに表現されていたと感じた。

他の映画だと、殺さない事も多い。または、誰かに殺そうとする所を止められるとか。それで人殺しはダメだ!と説得されるとか。

しかし「重力ピエロ」ではそれがない。
あっさりとやってしまうのだ。

私はこの場面に不思議と惹きつけられた。現実ではできないとわかっているからこそかもしれない。

警察に行くよ。

………お前がやったことは悪いことじゃない。

でも世の中的にはそうじゃない。

そんなのどうでもいいよ。

映画では、最終的に警察に捕まるのが普通だが、重力ピエロではこんな会話が出てくるのだ。

お前はきっと、自分のすべきことを何千回何万回と考えてきたんだろう?……中略……お前以上にこのことを真剣に考えられる奴はいない。

苦しみの中で考えて考えて、どうしようもない結果だったとしたら。逃げてしまっても良いじゃないか。正しさだけで救われるとは限らないのだ。

それが良いか悪いかは別として、空想の中だけでなら、こんな結末が見られてよかったと思う。

まとめ

中絶は良いか、悪いか。
人殺しは良いか、悪いか。
許されるか、許されないか。

いつまでたっても、この問題に答えは出せそうもない。

ただ、子供を産む選択をした「重力ピエロ」の家族は、「幸せ」だったのだと、そう感じる結末が、じんわりと心を打つ。

妊娠中絶はしても良いと決断した、大学時代のあの時にこの話を見たら、また違う結論が出せたのかもしれない。

おわりに

個人的に、中絶をしないのはおかしいというレビューと殺人はおかしいというレビューが混ざっていたのは面白かったです。

大学時代は、殺人、中絶、絶対ダメ!という人が多かったから特に。

また、重力ピエロの中で、産んだ子どもとその家族の関係性は良いものでした。
自分の中では、中絶はしても良いという意識があったのですが、「中絶をしない」という1つの可能性を、映像で見たことで改めて考えさせられる、そんな話でもありました。

長く書いたけど、重力ピエロ、面白かったです。色々とツッコミたい部分もたくさんあったし…。

とりあえず、考える続けるとドツボにはまるので今回はこのくらいで。

原作小説も読んでみたいなあと思います。

「重力ピエロ」あらすじ

半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。

町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。

連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。 引用:重力ピエロ

原作はこれ!

DVD・映画はこれ!

おわり!